お薬(メマンチン)でトラウマ・PTSDを治療する研究のご紹介

研究のご紹介

このホームページをご覧いただきまして、ありがとうございます。私たちはPTSDの患者様が、全国どこでも、メンタルクリニックを気軽に受診し、トラウマの話を詳しくしなくても、確実に回復できるような、そんなお薬の研究に取り組んでいます。

 是非、以下の説明をお読みになったうえで、この研究にご協力をいただきますようお願いいたします(参加のための条件がありますのでご了解下さい)。

PTSDとは何でしょうか

PTSDとは、生命が危険にさらされるような強い恐怖を体験したあとで、次のような症状が続いた状態です。①そのことを繰り返し思い出して恐怖を再体験する ②思い出さないように努力をしたり、思い出させる状況を避けてしまう ③物音などに過敏になったり、眠れなくなる。また、自分を責めたり、人を信じられなくなることもあります。日本に約70万人の患者がいると推定されていますが、治療に来られるのは7000人ほどです。トラウマの話をしたくなかったり、簡単に良くなる治療がないことが原因だと思われます。

詳しい説明は「PTSDとは」のページをご覧下さい。

なんのための研究?

PTSDの治療には持続エクスポージャー療法が効果的とされていますが、トラウマを詳しく何度も話す必要がありますし、毎日2時間の宿題もでますので、なかなか普及しません。治療者の人数も限られています。保険適用になっているお薬もありますが、持続エクスポージャー療法ほどの効果はありません。  

私たちは、お薬を飲むだけで、持続エクスポージャー療法と同じような効果があり、PTSDから解放されるような、そんな薬の開発を目指しています。

メマンチンというお薬について

私たちが使っているのは、メマンチンというお薬です。アルツハイマーのお薬ですが、動物実験からは、恐怖記憶に関する神経細胞の新生を促し、トラウマ反応が劇的に改善することが分かっています。またNMDA受容体という場所に働いて、記憶や情報の整理に役立つことも知られています。

私たちは実際にPTSD患者の方々にメマンチンを投与する研究を行い、高い効果が得られました。症状の改善は効果量という数字で示されますが、1.35でした。持続エクスポージャー療法の1.5以上に迫る数字です。ちなみに現在使用されているPTSDのお薬の場合は0.4以下です。

この研究では何をするの?

PTSDの治療薬としてのメマンチンが保健医療で使えるように承認されることを目指しています。そのためにはプラセボ(偽薬)を飲んだグループと比較してメマンチンの効果を証明する「ランダム(無作為)化比較試験:RCT」が必要となります。私たちが行っているのは、まさにそのRCTです(この研究は国立精神・神経医療研究センター倫理委員会の承認を受けています)。今、保健医療で使われている多くの薬は、こうしたRCTによって効果を証明されて、承認されてきたのです。承認されれば、PTSDの患者様が、街角のお医者さんに気軽にかかって、トラウマのことを詳しく話さなくても、メマンチンをもらってPTSDから解放されるようになります。

※本研究参加後に、全員がメマンチンの実薬を最長1年間服用できる別の研究にご参加いただくことが可能です。詳しくは研究担当者から説明いたします。

誰が参加できるの?

本研究では、18歳〜60歳以下のPTSD診断を満たす患者様で、以下の出来事により重傷を負ったり、死亡や重傷の危険に直面されたことのある方、あるいは性的暴力や虐待を受けられたことのある方を対象としています。他者が被害に遭っているのを目撃したり、近親者が同様の被害に遭ったことを耳にした場合も含みます。

他にもご参加いただくための基準がございます。詳しくは研究説明時にご説明いたします。

何をすればいいの?

東京都小平市の国立精神・神経医療研究センター病院に来て頂いて、メマンチンまたはプラセボ(偽薬)を受け取って頂き、簡単な検査に答えて頂きます。

最初の4週間は毎週、その後は1ヶ月に1回、通っていただきます。約4ヶ月で終わりです。その前後で、検査のために来て頂く必要があります。治療開始前、治療後の検査には、心理検査の他に、採血、MRI撮影などが含まれます。 実際に参加される前に、詳しい内容を文書で説明し、同意を確認して署名をして頂きます。ただし、いつでも途中でお止めになることは自由です。止められたことによる不利益はありません。

※本研究参加後に、全員がメマンチンの実薬を最長1年間服用できる別の研究にご参加いただくことが可能です。詳しくは研究担当者から説明いたします。

負担と謝金

本研究に必要な検査および医療費は全て無料であり、参加者の方にご負担いただくものはございません。研究参加の負担軽減のため、毎回の通院ごとの謝金(毎回3000円)+交通費実費相当をお支払いいたします。ただし、通院に要する移動の負担を考慮し、当院まで日帰り可能な地域の方に限らせていただきます。また症状評価面接を実施する評価日には、追加で5000円の謝金をお支払いいたします。

是非、ご登録と参加のご協力をお願い致します(ご参加のためには基準がありますので、ご了解下さい)。またお分かりになりにくいことがありましたら、ご遠慮なくお問合せ下さい。 

 

(下記の研究の流れもご参照ください)

研究の流れ

1.研究参加への同意

セルフチェック通過後、スタッフより連絡を差し上げますので、必要事項を記入しご返信をお願いいたします。主治医に研究参加への同意をとっていただいた後、研究の詳細な説明をさせていただきます。その上で研究にご参加いただくかどうかをお決めください。

2.治療前評価

研究参加に同意していただいたのち、アンケートにお答えいただきます。その後各心理検査(筆記・面接)や問診、血液検査などを受けていただきます。

3.無作為な割り付け

研究に登録されたら「メマンチンでの治療を行うグループ」と「プラセボ(偽薬)を服用するグループ」にランダムに振り分けられます。誰がどのグループに振り分けられたかは、担当医にも参加者にもわかりませんし、どちらかのグループを希望することもできません。

※本研究参加後に、全員がメマンチンの実薬を最長1年間服用できる別の研究にご参加いただくことが可能です。詳しくは研究担当者から説明いたします。

4.治療への参加

定期的に国立精神・神経医療研究センターに通院していただき、決まったスケジュール通りに17週間の間、薬の服用をしていただきます。その間定期的に血液検査や心理検査を受けていただくことになります。なお、通院・検査にかかる費用負担はございません。来院ごとに謝礼をお支払いいたします。

5.治療後評価

薬の服用期間を終えたら、症状がどのように変化したかをあらためて評価いたします。これで研究への参加は終了です。

ACCESS

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住所・電話番号
〒187-8553 東京都小平市小川東町4-1-1
Tel 042-341-2711(代)
電車でお越しの場合
西武拝島線萩山駅(南口)下車、徒歩約12分
西武多摩湖線青梅街道駅下車、徒歩約10分
JR武蔵野線新小平駅下車、徒歩約10分
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詳しくはセンターHPをご覧ください

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関連サイト

  • 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター National Center of Neurology and Psychiatry
  • NCNP 行動医学研究部